ドナルド・エイブラム、アンドリュー・ワイル著 がんの統合医療 メディカルサイエンスインターナショナル社 2010年日本語訳発行(2009,Oxford University Press)

この本の著書の一人、米国統合医療アリゾナセンターのワイル氏は、世界的な自然療法の権威として有名です。そのアリゾナセンターの統合腫瘍学の指導者であるエイブラム氏と共著で、統合腫瘍学の考え方、さまざまな代替療法の利益とリスク、がん治療への有用な方法を医師やヘルスケア専門家向けにまとめたものです。全般に医学書は高価なので一般の方には買いやすい値段(6000円+税)でないところが残念です。

専門的な情報書としてまとめられていますが、「患者の観点」という章(p566-579)があり、がんサバイバーの寄稿を載せています。当社団法人の活動としても大変有用な内容ですので、ご紹介させていただきます。

寄稿されたサバイバーの方は、工学技術のビジネスコンサルティングを仕事とし社会で成功していた、とのことです。友人や家族からは、分析的で、懐疑的であると評価されています。直腸から断続的な出血に気づいていたが、刺激的な食べ物や運動による通常の反応だと軽視していたものの、念のためこの不調は検査をした方が良いと検診を受けたところ、まったく予想していなかった大腸がんと診断されました。「私ががんになるなんてありえない!」と思っていたそうです。ここから闘病生活がはじまります。

そして、結論は「がんは打ち負かすことができ、それゆえに闘う価値のある病気であることを学んだ」と、この経験を、患者さんや家族に伝えたい、と思うようになられ筆を取られたそうです。

がんになったときにすべきことを8点についてまとめられています。

1.          医者、家族、友人からなるサポートチームをつくる。チームを活用して自分の状態を伝え、意見を出し、精神的・身体的なサポートを受ける。

2.          セカンドオピニオンを受ける。通常の治療以外のアプローチを制限する必要はない。不快な気分にさせる人や横柄な態度の人は避ける。当然、急を要する問題であるので治療は系統的にすばやく計画する必要がある。

3.          チームに少なくとも1人は健康アドバイザーを加えること。偏見がなく、通常の医療も補完医療もよく知っている人である。かかりつけ医でも、腫瘍医でも、ハーブの専門家でも、家族や友人でも良い。私の場合、統合腫瘍医と通常の腫瘍専門医と妻であった。

4.          チームと共に、あなたにとって満足のいく治療計画を立てる。これはいくぶん、あるいはすべての効果的な通常医療と補完的なアプローチを含んでいる。

5.          治療計画は最善であり、うまくいくと自分自身を納得させることで、あなた自身に備わった心の治癒力を引き出そう。結局、あなたは治療計画を立てたチームの一員であり、あなた以上にあなたにとってよいことが何かを知っている人などいないのだから、それこそが一番のアプローチである。

6.          家族や仕事の問題を含め、うまく対処できる管理可能なストレスを解決して、人生をシンプルにすること。

7.          無添加になれること。加工食品を避ける。簡素で健康に良い食べ物に喜びを見つける。結局「あなたが食べたものがあなた自身」なのだから。がんが好きな砂糖は控えよう。

8.          前向きでいること。人生における喜びを探すことや、今感じることのできる楽しさを忘れないでいよう。

 

以上の8点を整理されています。がんと闘うことは、単に化学療法や他の治療を受ける期間だけでなく、人生をかけた取り組みであることを忘れないで欲しい、と結んでいます。

当社団法人としては、納得のいく治療計画の作成に少しでもお役に立てるよう尽力いたします。

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