ミナ・ビッセル「癌の新しい理解につながる実験」TEDを見ました!

NHKのEテレの人気番組TEDスパープレゼンテーションで、ミナ・ビッセル博士の「癌の新しい理解につながる実験」http://www.ted.com/talks/mina_bissell_experiments_that_point_to_a_new_understanding_of_cancer?language=jaを見ました。テーマは「形態と機能」。ビッセル博士は乳がんの専門家。「当たり前からはみ出して考えるのが好き」な性格とのこと。

従来の癌の理論では「がん遺伝子ひとつを含むがん細胞がひとつでもあると癌になってしまう」というが、これでは人間は癌だらけ、癌の塊になってしまう、実際はそうではない、この定説には納得できない、というお話です。

そこでビッセル博士は鶏の実験に取り組みます。鶏の癌細胞から遺伝子を取り出して、鶏の胚胎にがん遺伝子に青いマーカーをくっつけて注入。すると羽毛一本一本に青いマーカーのついたがん遺伝子が観察できた。すなわち癌細胞が羽の一部になっていた。それから、また羽を分離してシャ-レに入れると採取した鶏の癌細胞ときのように青い塊になった。・・・・なぜでしょうか?

この実験からの仮説は、細胞を取り巻く周囲の状況が、がん遺伝子や癌細胞に何をすべきか伝えている、というお話。そして実験を重ね、細胞外マトリックスExtra Cellular Mtrix ECM※が細胞に何をすべきか信号を送っているのはないか、とさらに仮説をしぼるところまで突き詰めた、とのこと。

※細胞外マトリックスとは、生物において、細胞外に存在する超分子構造体。多細胞生物の場合、細胞外の空間を充填する物質であると同時に骨格的役割、細胞接着における足場の役割、細胞増殖因子などの保持・提供する役割などを担う。・・・多細胞生物を構成する個々の細胞の多くは細胞外マトリックスのベッドあるいは巣に埋もれて生活しているとも言える。ただそれは単純なベッドではなく細胞の生き様を変化させることが出来る動的で機能的なものであり、細胞にとっての「微小環境microenvironment」の実体である。細胞外マトリックスの成分は、コラーゲン、プロテオグリカン、フィブロネクチンやラミニンといった糖たんぱく質である。出典:ウィキペデイア

 

つぎの実験は、乳腺のがん化細胞に細胞外マトリクスECMの抑制要素を加えたものと、加えないものとの観察。加えないものはめちゃくちゃな増殖をする。このがん細胞に細胞外マトリックスECMを加えシャーレで培養すると腫瘍を形成せず、正常に戻った!ことが観察された。・・・さらに細胞外マトリックスECMが遺伝子DNA配列に反応することも実証できた、というお話でした。

テーマ「形態と機能」とは、形が機能に影響し、形は機能に影響される、という動的な相互関連の事実を、乳腺の正常細胞と癌化した細胞を観察することで発見できた、というお話でした。下手なたとえで恐縮ですが、オフィスビルでスーツを着て仕事しているとき、公園でジーパン姿遊んでいるとき、ひとの生活でも服装と活動に相互関連があることと、ビッセル博士の研究のお話を重ねてしまいました。

この新しい発見、すなわち「形態」には意味があること、しかしその「形態」の応用についてはまったく分かっていないこと、についてビッセル博士は「すばらしい未知の世界が広がっている」と、お話を結んでいます。今後、ビッセル博士の研究チームの活動が注目されます。

 

 

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