第10回放射線ホルミシス講演会に参加しました。

ホルミシス臨床研究会(代表学術委員 川嶋朗 東京有明医療大学教授)主催による第10回放射線ホルミシス講演会が平成30年1月21日 千代田区神田錦町の学士会館で開催されました。

今回は、東京理科大学小島周二名誉教授「α線の基礎とα線放出核種の我が国「を含めた臨床応用の現状と将来展望」、国立研究法人量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所放射線生物応用研究部 石岡典子上席研究員「α線の特性とその新規創成に関する研究」の特別講演、川嶋教授、高良院長(タカラクリニック)から臨床症例発表がありました。

これまで低線量放射線源としてラドンのホルミシス効果が研究会で紹介されてきましたが、今回は、核医学治療におけるα線について紹介がありました。

塩化ストロンチウムによるβ腺治療が2007年に保険収載され、しばらく間が合って2016年に塩化ラジウムによるα線治療が保険収載されています。α線は細胞の破壊力と正常細胞に与えるダメージのダメージの少なさが注目され、世界的にα線を有効成分とした放射性医薬品の開発が盛んになっているとのこです。

α線はβ線よりも25-50倍のエネルギーがあるのでDNA2重鎖切断を引き起こし、修復しにくい損傷を与えることで効果を上げます。また、放射線が到達する距離は0.1mm以下であるため細胞数個分の照射になり周囲の放射線に与える影響がβ線に比べてはるかに限定的なので海外では盛んに臨床研究が行われているそうです。

ドイツハイデルベルグ大学病院での前立腺がん治療において、前立腺特異的膜抗原PMSAが有望な標的である事を活用したα線放出のアクチニウムを静脈内投与の臨床報告がありました。画像上で腫瘍の消失、PSA値も3000ng/mlが0.26ng/mlまで低下するという顕著な改善が見られたとのことです。

アクチニウムなどの放射性物質を高濃度に腫瘍細胞に到達させることの技術的課題がまだありますが、今後、日本でも抗がん剤に変わる放射線治療の臨床研究が進展することを期待できる講演会でした。

トラックバックURL