地域包括ケアシステムとがん治療について

平成29年2月17日 一般財団法人医療関連サービス振興会主催シンポジウム「地域包括ケアシステムの中軸としての医療介護連携と医療関連サービス~地域で治し支える医療の広がりを踏まえて~」に参加しました。

医療介護総合確保促進会議座長の田中滋慶応大学名誉教授の基調講演がありました。

色々示唆に富む話が満載でしたが、高齢社会に対する一般的な認識について誤解があることを説明されていました。以下ポイントです。

☆☆☆ 昔と比べて家族機能が低下している。だから、介護が社会的な問題なんだ! ☆☆☆というのはウソだそうです。子供と同居する高齢者は、1980年代700万人でしたが、2015年には1400万人を超える状況です。高齢の両親と同居する若い世代の家族はどんどん増えているということです。

☆☆☆ 昔の高齢者と比べて、今の高齢者は虚弱化している。だから、介護が社会的な問題なんだ! ☆☆☆ というのもウソだそうです。文部科学省の体力調査では、高齢者の体力・運動能力は右肩上がりで男女共に高くなっているそうです。将来的にもさらに向上するようです。

☆☆☆ 地域社会の介護サービスの取り組みが問題だ!だから、介護が社会的な問題なんだ! ☆☆☆ というのもウソだそうです。介護職員の不足は、メディアにも取り上げられています。しかし、事業体が撤退しているわけではなく、平成12年には50万人だった介護従事者が、平成26年には180万人となり毎年5万人も増加しているそうです。

じゃあ、何が問題か?  それは人類史上、空前絶後の「日本人が長生き」になったということに尽きる、とのことです。一昔前は100歳以上の長寿者は100人もいませんでした。今は、なんと6万人もいます。100人の頃は市町村の役場から金杯をお祝いに貰うことも微笑ましいイベントでしたが、いまや6万人!!!  さらに毎年増え続ける状況です。

これに対応する地域社会を今から構想することが緊急の課題ということです。スローガンは「おおむね在宅、ときどき入院」です。医療でも、介護でも、それらをスタッフの揃った病院や施設にお任せできない、受け入れる余裕がない時代に突入しています。

しかし、自宅で何とかしろ!と言われても、必要なサービスがネットワークされていない現状では、見放されたも同じことになります。そこで行政、医師会、訪問看護、介護、医療関連サービスが一体となって地域ごとに完璧なネットワークをつくる構想を打ち上げているとのことでした。しかも、急いで!

この構想の具体化においては専門家に任せるところも多いのですが、自分たちがあらかじめ留意すること、心がけておくことの一番は「閉じこもらない」ことだそうです。とにかく閉じこもられると支援の手が差し伸べられないのだ、とのこと。人のつながりを大事にすること、買い物でも相談でも、自発的に社会に出てくることがポイントになります。特に、退職後の男性は要注意!

がん治療も、当然ですがこのシステムの中にはいります。当社団のスローガン「がん治療は自分で選ぶ時代です!」も、まさにこの構想に沿うものです。標準治療や先端医療の組合せから、自然療法をはじめとする生活改善などさまざまな支援の手があります。たまたま、たどり着いた人だけが幸運だ!という今の現状では、急増する高齢者の中では意味がありません。だれでもがん治療に関わる様々な情報を手に入れ、そして整理することが出来て、その中から自発的に選択でき、家族も納得して治療に臨める世の中になればと思います。

がんは治らない病気、死と直面しなければならない病気として刷り込まれている現状では、がん宣告されたときから抑うつ的な気持ちになってしまいます。結果として人とのつながりもなんとなく消極的になりがちです。これは、よくありません!治療的にも、そして高齢社会の社会システムを機能させる意味でも。

病院の先生方から耳にする「生きることに消極的にさせてしまう情報」しかないのではありません。がんサバイバー杉浦貴之さんたちが「がんなおちゃったよ、全員集合!」と全国で集会を展開していますが、このような活動を通して病状の改善も人生の展開も変わってきます。ステージ4を乗り越えている方々のナマのお話には、ホントに励まされます。乗り越えた方々に、直に、話を聞く!ことを何度も何度もして杉浦さんは、自分の治る力を徐々に確信していったそうです。まさに、人とのつながりの中で、生きる力を復活できた、というお話でした。

国を挙げて、世の中を変えて行こうとしています。がん治療についても今までとは様相がかわります。すでにがん対策基本法に患者の治療選択権があることを基本理念として示しています。当社団の相談活動も一翼を担っていることを確認したシンポジウムでした。

 

 

 

 

 

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