石井光著「医者の罪と罰」(幻冬舎)を読んで

石井光医学博士は、当社団法人の理事長です。前著「医者の嘘」につづき「医者の罪と罰」をこのたび上梓しました。衝撃的なテーマですが、内容は石井医師が長く取り組んできた「がん治療」と「サプリメント」について、メディアを通じては知りえない現状が述べられています。

二人にひとりががんになる時代となり、学校教育でも「がん」教育が取り入れられ始めました。がんにかからない予防法、早期発見のための検診の意義など、若い世代は科学的な情報をしっかり教えてもらうことになります。近い将来、我が国においても、がん罹患者の減少が着実に進むことを期待したいです。

一方で、残念ながら「進行がん」になってしまった場合、標準治療である三大療法の限界は、まだまだ十分に周知されていないように思います。今、病院で行われている治療法は、がん細胞を取り残す弱点があり再発・転移のリスクが避けられず、この標準療法の弱点を補完する戦略が求められています。

医者のツミと罰(画像)その戦略の中で、最有力な方法として石井医師のクリニックでのANK免疫療法による治療例について具体的に紹介されています。標準療法の臨床の場においても、一昨年の免疫チェックポイント阻害薬オプジーボの登場により長く否定的な扱いを受けていた「免疫」療法がようやく治療的に認知されることになりました。

NK細胞によるがん細胞への傷害作用は高校生物の教科書にも記載されていると石井医師は紹介していますが、NK細胞による免疫療法に対して未だに自由診療や先端医療での治療で怪しい治療だという偏見は強く残っています。その理由は、免疫療法が保険診療メニューにないことをもっぱらとするものです。これは科学的根拠があれば必ず保険収載されるという誤った制度の仕組みの認識なのですが、保険収載されることと科学的な検証があることとは次元が違うことを理解していない医師の発言だと糾弾しています。

がん対策基本法には、患者による治療選択の権利が明記されています。これは「標準治療=保険収載の治療」以外の先端医療の存在・実績の事実を前提としています。

生命保険文化センターの調査でも、がん保険に期待する理由として「保険の効かない先端医療受けるため」という割合が3割を超えています。がんになる前から多くの方々が万が一の場合の先端医療を希望しています。まして、現実にがんになったら先端医療を受けたいというのは人情です。しかし、現状では、この患者の希望する治療を受けさせない、という選択の権利を奪う実例が未だに続いており、石井医師は鋭く糾弾しています。

石井医師は内視鏡医として現役で活躍する中、がん拠点病院などとも連携をしながら日々がん患者の完治を目指す治療に取り組んでいます。その中で、何回となく煮え湯を飲まされてきた経験がありました。患者さんの権利を社会的に認知してもらいたい、という強い思いが今回の上梓につながったとのことです。今回、がん治療の仲間にも、耳の痛い内容をあえて一般患者さんたちにも伝える選択をするという使命感、勇気に満ちた内容だと思います。

これからがん治療を選択するにあたり、患者さまが納得する希望の治療がうけられるように、その実現に向けて背中を押してくれる内容だと思います。是非、ご一読して欲しい本だと思います。

 

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